不法残留・オーバーステイになったら?対応方法と再入国の可否を行政書士が解説

日本に滞在中の外国人が在留期限を過ぎて滞在してしまうと、「不法残留(オーバーステイ)」という違法状態になります。これは入管法違反にあたり、放置すると退去強制(強制送還)や将来の再入国禁止につながる可能性があります。

本記事では、行政書士の視点から、不法残留となった場合の正しい対応方法と、将来の再入国の可能性についてわかりやすく解説します。

不法残留(オーバーステイ)とは?

不法残留とは、在留期限(ビザの有効期限)を過ぎても出国せず、正当な手続きをしないまま滞在を続けることです。

【よくある原因】

  • 在留カードの期限をうっかり忘れていた
  • 在留資格の更新が間に合わなかった
  • 自分では更新申請をしたと思い込んでいた

たとえ悪意がなくても、在留期間を1日でも過ぎると不法残留扱いとなるため注意が必要です。

不法残留が発覚したときの対応方法

不法残留が発覚した際の対応には、大きく分けて次の2つがあります。

① 自主出頭する(出国命令制度の利用)

不法残留に気付いた時点で、自主的に入国管理局に出頭することで「出国命令制度」を利用できる可能性があります。

◆ 出国命令制度の条件:

  • 不法残留である(不法入国ではない)
  • 犯罪歴がない
  • 自ら出頭している
  • 速やかに帰国する意思がある

この制度を使えば収容を避けた上で、比較的穏やかな手続きで帰国が可能です。

② 強制退去処分を受ける

出頭せず、摘発や通報などによって発覚した場合は、通常「退去強制(強制送還)」となります。出国までに収容施設に拘束される可能性もあります。

不法残留者の再入国は可能?

帰国後、再び日本に入国したい場合は、以下の入国禁止期間を確認する必要があります。

状況入国禁止期間
出国命令制度を利用した場合原則1年間
強制退去となった場合原則5年間
過去に強制退去歴がある場合最長10年間

ポイント:

  • 自主出頭により短い禁止期間で済む可能性がある
  • 反対に、虚偽の申告や逃亡などがあると再入国は極めて困難になります

在留特別許可とは?在留継続できる可能性も

ごくまれに、不法残留の状態でも、事情によっては「在留特別許可」が与えられる場合があります。

在留特別許可が認められる可能性のある例:

  • 日本人の配偶者や子どもがいる
  • 長期間日本で生活している
  • 人道的配慮が必要な事情がある
  • 社会的に定着し、反省の姿勢がある

これは法務大臣の裁量で判断されるものであり、確実なものではありません。行政書士や弁護士の支援が不可欠です。

企業や支援者が気を付けるべきこと

外国人を雇用する企業や支援団体も、在留資格の管理を徹底する義務があります。知らぬ間に不法残留となり、企業側が不法就労助長罪に問われるリスクもあります。

【企業ができる対策】

  • 在留カードの有効期限の定期確認
  • 更新スケジュールのリマインド体制
  • ビザ更新時に専門家に相談

まとめ:不法残留・オーバーステイは早期相談がカギ

不法残留やオーバーステイは、単なる「うっかりミス」から発生することもありますが、放置すれば将来の再入国や就労ビザ取得に重大な影響を及ぼします。

行政書士として一貫して伝えているのは、「気づいたらすぐに専門家に相談する」ということ。早期対応で選択肢が広がり、再出発の可能性も生まれます。

投稿者プロフィール

塚本周太郎
塚本周太郎
岐阜県行政書士会に所属の行政書士です!
資格予備校で公務員講座専任講師も行っております。 
元役場職員の行政の視点からお客様問題解決を図ります!

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